○いなべ市性の多様性を認め合う社会を実現するための条例

令和2年6月26日

条例第15号

(目的)

第1条 この条例は、いなべ市(以下「市」という。)において性の多様性を認め合う社会を推進するため、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにし、市の施策の基本事項を定めるとともに、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、性の多様性を認め合う社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 性的マイノリティ 性的指向(どの性別を恋愛の対象にするかを表すものをいう。)や性自認(自己の性別についての認識をいう。)のあり方が多数者とは異なる者

(2) カミングアウト 自らが性的マイノリティであることを公表すること。

(3) パートナーシップ 2人の者が、互いを人生のパートナーとし、相互の協力により継続的な共同生活を行っている、又は継続的な共同生活を行うことを約した関係

(4) 宣誓 パートナーシップの関係にある者同士が、市長に対し、パートナーシップの関係である旨を誓うこと

(基本理念)

第3条 全ての人が性の多様性を認め合い、個人としての尊厳が重んじられ、性的マイノリティであることによる差別的取扱いや暴力的行為を受けることなく、個性と能力を十分に発揮し、自らの意志と責任によりより多様な生き方を選択できる地域社会を目指すものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念にのっとり、施策を総合的に策定し、実施するものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、家庭、職場、学校、地域その他社会のあらゆる場面において、性の多様性を理解するとともに、市が実施する施策に協力するように努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、性の多様性に配慮した体制の整備に努めるとともに、市が実施する施策に協力するように努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 学校教育、社会教育その他のあらゆる教育に携わる者は、性の多様性を認め合う意識の形成に配慮した教育を行うように努めなければならない。

(権利侵害の禁止)

第8条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他社会のあらゆる場面において、次の各号に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 性的マイノリティであることを理由とする差別的取扱い又は暴力的行為

(2) 性的マイノリティであることを、本人の意に反して公にすること。

(3) カミングアウトを強要し、又は禁止すること。

(広報啓発活動)

第9条 市は、性の多様性に対する市民及び事業者等の理解を深めるため、必要な広報啓発活動に努めるものとする。

(相談及び苦情の申出)

第10条 何人も、性的マイノリティであることを理由とする差別的取扱いによって権利が侵害された場合の相談又は苦情を市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の申出を受けたときは、関係機関と連携して適切に対応するよう努めるものとする。

(施策の実施)

第11条 市は、性の多様性の理解に係る施策について、いなべ市男女共同参画推進条例(平成20年いなべ市条例第2号)第7条に規定する基本計画に基づき実施するものとし、当該施策の実施に関し必要な事項については、同条例第8条に規定する委員会において調査審議するものとする。

(パートナーシップの宣誓等)

第12条 パートナーシップの宣誓は、宣誓書を市長に提出することにより、これを行う。

2 市長は、パートナーシップの宣誓があった場合は、パートナーシップ登録簿への登録を行うとともに、宣誓した2人の者に対して、登録証明書を交付するものとする。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、令和2年7月1日から施行する。

いなべ市性の多様性を認め合う社会を実現するための条例

令和2年6月26日 条例第15号

(令和2年7月1日施行)