○いなべ市生活困窮者自立相談支援事業実施要綱

平成27年3月25日

告示第52号

(趣旨)

第1条 この要綱は、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号。以下「法」という。)第5条第1項の規定に基づき実施する生活困窮者自立相談支援事業(以下「本事業」という。)について、必要な事項を定めるものとする。

(事業内容)

第2条 市は、本事業において次のように実施することとする。

(1) 取組内容

 包括的かつ継続的な相談支援

市は、生活困窮者に対して広く相談を行うとともに、生活困窮者が抱える多様で複合的な課題を包括的に受け止め、その者の置かれている状況やその者の意思を十分に確認(以下「アセスメント」という。)した上で、支援の種類及び内容等を記載した計画(以下「プラン」という。)を策定する。また、プランに基づく様々な支援が始まった後も、それらの効果を適切に評価及び確認しながら、生活困窮者の状況に応じた適切な就労支援も含め、その者の自立までを包括的かつ継続的に支えるものとする。

 生活困窮者支援を通じた地域づくり

市は、生活困窮者の早期把握や見守りを行うため、関係機関及び関係者のネットワークを構築し、包括的な支援策を用意するとともに、生活困窮者の社会参加や就労の場を広げていく。さらに、生活困窮者の支援に当たっては、既存の社会資源(生活困窮者がニーズを充足し、問題解決するために活用される各種の制度、施設、機関、設備、資金、物質、法律、情報、集団及び個人の有する知識や技術等をいう。以下同じ。)を積極的に活用するとともに、社会資源が不足している場合は、新たに開発することに努めるものとする。

(2) 職員配置

市は、主任相談支援員、相談支援員及び就労支援員(以下「主任相談支援員等」という。)を配置することとし、次の業務を行う。

 主任相談支援員

自立相談支援機関における相談業務全般のマネジメント、他の支援員の指導及び育成、支援困難ケースへの対応など高度な相談支援を行うとともに、社会資源の開拓、連携等を行うこと。

 相談支援員

生活困窮者へのアセスメント及びプランの作成を行い、様々な社会資源を活用しながらプランに基づく包括的な相談支援を実施するとともに、相談記録の管理及び訪問支援などを行うこと。

 就労支援員

生活困窮者へのアセスメント結果を踏まえ、公共職業安定所や協力企業を始め、就労支援に関する様々な社会資源と連携を図りつつ、その状況に応じた能力開発、職業訓練の就労支援を行うこと。

(包括的かつ継続的な相談支援)

第3条 生活困窮者に対する包括的かつ継続的な相談支援は、次の手順で実施することとする。なお、自立相談支援事業と就労準備支援事業及び家計改善支援事業(以下「両事業」という。)を一体的に実施するに当たり、プランの協議又はプランに基づく支援の進捗状況の確認の際に両事業に従事するものが参画することや、両事業に従事する者に対して支援の実施状況や支援対象となっている生活困窮者の状況に関する情報を共有することなどにより、両事業との緊密な連携を図る体制を確保するものとする。

(1) 生活困窮者の把握及び相談受付

 生活困窮者の複合的な課題に包括的かつ一元的に対応する窓口を設置し、来所による相談を受け付ける。また、生活困窮者の中には社会的に孤立している場合もあることから、訪問支援などを含めた対応を図る。この場合において、地域内の関係機関のネットワーク強化を図り生活困窮者の早期把握に努める。

 相談受付時は、相談者の主訴を丁寧に聞き取った上で、他制度や他機関へつなぐことが適当かを判断する。

 相談者への他制度等の紹介のみで対応が可能な場合や、明らかに他制度や他機関での対応が適当であると判断される場合は、情報提供や他機関へつなぐことにより対応する。その際、相談者が要保護となるおそれが高いと判断される場合には、生活保護制度に関する情報提供、助言等の措置を講ずる。

 相談内容から、自立相談支援機関による支援が必要であると判断される場合は、相談者から、本事業による支援プロセスに関する利用申込を受けて、その同意を得るとともに、丁寧なアセスメントを行う。アセスメントにより、相談者に関する様々な情報を把握及び分析した後、自立相談支援機関が継続してプランの策定等の支援を行うか、又は他制度や他機関へつなぐことが適当かを改めて判断する。なお、生活保護制度へつなぐことが適切と判断される場合には、確実に福祉事務所につなげるものとする。

また、他制度や他機関へつなぐことが適切と判断される場合には、相談者の状況に応じて適切に他の相談窓口等へつなぐとともに、必要な場合は、つなぎ先の機関へ相談者の状況について確認する。

(2) アセスメント及びプランの策定

 自立相談支援機関による継続的な支援が妥当と判断された者については、相談者へのアセスメント結果を踏まえ、相談者の自立を促進するための支援方針、支援内容、相談者の達成目標等を盛り込んだプランを策定する。

 プラン策定前においても、必要に応じて、緊急的な支援(生活困窮者住居確保給付金の支給等)や、自立相談支援機関の就労支援員による就労支援その他の地域における様々な社会資源を活用した各種支援が受けられるよう、必要な調整を行うものとする。

 プランの内容は、自立相談支援機関が自ら実施する支援に加えて、次の(ア)から(オ)までに掲げる法に基づく支援、(カ)から(ク)までに掲げる他の公的事業等の支援など、相談者の自立を促進するために必要と考えられる支援を盛り込むものとする。

(ア) 生活困窮者住居確保給付金の支給

(イ) 生活困窮者就労準備支援事業

(ウ) 生活困窮者家計改善支援事業

(エ) 生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業

(オ) (ア)から(エ)までのほか、生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業

(カ) 公共職業安定所が実施する生活保護受給者等就労自立促進事業

(キ) 生活福祉資金貸付事業

(ク) 上記のほか、様々な公的事業等の支援

 いなべ市生活困窮者自立相談支援事業支援調整会議設置運営要綱(平成27年いなべ市告示第53号)に基づき、生活困窮者自立相談支援事業支援調整会議(以下「支援調整会議」という。)を開催し、プランの内容が適切なものであるか確認を行うとともに、プランに基づく支援に当たって、関係機関との役割分担等について調整を行うものとする。

 市は、支援調整会議において、(2)のウ(イ)(ウ)及び(エ)の事業(以下「就労準備支援事業等」という。)が盛り込まれたプランが了承された場合には、就労準備支援事業等については支援決定を、(2)のウの(エ)(キ)又は(ク)の事業等については支援内容の確認を行うものとする。

 (2)のウの(カ)の事業につなぐ場合については、市がプランの内容を確認し了承した後、自立相談支援機関は、支援決定等がなされたプランの写しとともに、必要書類を公共職業安定所に送付することにより、支援要請を行う。

(3) 支援の提供、支援過程における状況確認、評価、再プラン策定、終結

 プランに基づき、各支援機関から適切な支援を受けられるよう相談者との関係形成や動機付けなど調整を行う。

 各支援機関による支援が始まった後も、各支援機関との連携及び調整はもとより、必要に応じて相談者の状況等を把握する。

 定期的なプランの評価は、以下の状況を整理し、おおむね3か月、6か月、1年など相談者の状況に応じ、支援調整会議において行う。

(ア) 目標の達成状況

(イ) 現在の状況と残された課題

(ウ) プランの終結又は継続に関する、相談者の希望、支援員の意見等

 評価の結果、支援の終結と判断された場合は、他機関へのつなぎや地域の見守りの必要性を検討し、必要に応じて継続して確認を行う。

 評価の結果、プランを見直して、支援を継続する必要があると判断された場合は、改めてアセスメントの上、再度プランを策定する。

(支援決定)

第4条 市は、支援調整会議で了承されたプランに盛り込まれた就労準備支援事業等の利用の可否について支援決定を行う。あわせて、当該プランの内容が適切であるか否かを確認する。

(生活困窮者支援を通じた地域づくり)

第5条 市は、生活困窮者の自立に向け、包括的かつ継続的な支援を提供するため、支援調整会議その他の既存の合議体も活用して協議の場を設ける。また、効率的かつ効果的に生活困窮者を早期把握し、支援を行うために、関係機関との連携及びネットワークづくりを進め、その活用を図る。

(住居確保給付金の手続)

第6条 住居確保給付金の相談及び受付業務、受給中の面接業務等(市が行う支給決定に関する事務を除く。)は、自立相談支援機関において行う。

(実施上の留意点)

第7条 自立相談支援機関は、相談支援に当たり、「自立相談支援事業の手引き」(平成27年3月10日付厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)に定める「自立相談支援機関使用標準様式」を使用することとし、相談者ごとに支援台帳を作成し、管理するものとする。

(雑則)

第8条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この告示は、平成27年4月1日から施行する。

(平成31年3月29日告示第71号)

この告示は、平成31年4月1日から施行する。

いなべ市生活困窮者自立相談支援事業実施要綱

平成27年3月25日 告示第52号

(平成31年4月1日施行)