○いなべ市外部公益通報の処理に関する要綱
令和7年8月15日
告示第114号
(目的)
第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第13条第2項に基づき、外部の労働者等からの法に基づく公益通報及びその他の法令違反等に関する通報等を適切に取り扱うため、これらの通報等への対応手続に関する事項を定めることにより、通報者等の保護を図るとともに、事業者の法令遵守等を推進することを目的とする。
(1) 外部の労働者等 次に掲げる者又は外部通報・相談の日前1年以内に当該者であった者をいう。
ア 通報内容となる事実(以下「通報事実」という。)に関係する事業者に雇用されている労働者
イ 事業者を派遣先とする派遣労働者又は事業者と契約関係にある事業者(以下「取引先事業者」という。)の労働者
ウ 通報事実に関係する事業者及び取引先事業者の役員
エ その他通報事実に関係する事業者の法令遵守を確保する上で必要と認められる者
(2) 外部通報 外部の労働者等が、法令に違反し、又は違反するおそれのある行為(以下「法令違反行為等」という。)が生じ、又はまさに生じようとしていることを処分又は勧告等をする権限を有する市の機関に公益通報することをいう。
(3) 通報相談 公益通報対応体制の仕組み、不利益な取扱いその他通報について、質問し、又は相談することをいう。
(4) 外部通報・相談 外部通報及び通報相談をいう。
(5) 通報者 外部通報をした外部の労働者等をいう。
(6) 相談者 通報相談をした外部の労働者等をいう。
(7) 通報相談窓口 外部の労働者等が外部通報・相談をするために設置する窓口をいう。
(8) 対象事案 通報相談窓口に対して外部通報された事案をいう。
(9) 主管課 通報事実に関する処分又は勧告等の事務を所掌する課をいう。
(10) 通報者等を特定させる事項 通報者又は相談者(以下「通報者等」という。)が誰であるか認識することができる事項をいう。
(11) 被通報者 法令違反行為等を行った、行っている又は行おうとしているとして外部通報の対象となる者をいう。
(12) 不利益な取扱い 外部通報・相談をしたことを理由とする市、事業者又は事業者の役職員等からの、懲戒処分その他の不利益な取扱いをいう。
(外部通報の体制整備)
第3条 外部通報・相談に関する事務を総括し、及び指揮するため、通報対応責任者(以下「責任者」という。)を置く。
2 責任者は、企画部長をもって充てる。ただし、責任者が第13条の規定により手続から除外される場合は、別に定める者がその職務を代理する。
(通報相談窓口)
第4条 企画部法務課に通報相談窓口を設置する。
2 通報相談窓口は、次に掲げる事務を取り扱う。
(1) 外部通報・相談の受付、調査その他の対応に関すること。
(2) 通報者等との連絡調整に関すること。
(3) 主管課との連絡調整に関すること。
(4) 公益通報に関する制度の周知及び運用状況の公表に関すること。
3 通報相談窓口に通報相談窓口担当者を置き、次に掲げる者をもって充てる。
(1) 企画部法務課長の職にある者
(2) 企画部法務課の公益通報に関する事務の担当者
(3) その他責任者が指名する者
4 通報相談窓口を経由せず、主管課に対して直接外部通報・相談があった場合、当該主管課は、当該外部通報・相談を通報相談窓口に引き継ぐものとする。
(外部通報の取扱い)
第5条 通報相談窓口担当者は、外部通報を受け付けるときは、通報者の秘密の保持に配慮しつつ、氏名、住所、連絡先及び外部通報の通報事実の把握に努める。
2 通報相談窓口担当者は、通報者に対して外部通報をしたことを理由とした不利益な取扱いがないこと及び通報者の秘密が保持されることを説明する。
(通報相談の取扱い)
第6条 通報相談窓口担当者は、通報相談があったときは、相談者に相談の内容、趣旨等を十分確認して法第2条第3項に規定する通報対象事実に該当するかを判断するとともに、相談者に対して通報を受け付けるために必要な助言を行う。
(通報相談窓口の利用方法)
第7条 外部通報は、原則として実名により、次に定める事項を、電話、電子メール、ファクシミリ、郵送又は面談の方法により行う。ただし、客観的に事実が証明できる資料があるときは、匿名で外部通報をすることができる。
(1) 法令違反行為等に関する事実の内容
(2) 法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
(調査の実施)
第8条 責任者は、外部通報の調査を統括し、外部通報により調査中の対象事案と同種案件であるもの、既に対象事案に関する調査又は是正措置がとられ解決済みであるもの、通報者と連絡が取れず事実確認が取れないもの等正当な理由がある場合を除き、直ちに必要な調査を実施する。
2 責任者は、対象事案について、適切な主管課に調査を担当させる。
3 責任者は、他の行政機関が対象事案について処分又は勧告等をする権限を有する場合は、当該他の行政機関を通報者に対して遅滞なく教示することを含め、適切な措置を講ずる。
4 前項の場合において、通報者からの外部通報に、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている場合には、外部通報に関する秘密保持に留意しつつ、個人情報の保護に関する法令等も踏まえ、当該他の行政機関に当該内容について情報提供をする。
(是正措置)
第9条 主管課は、調査の結果、法令違反行為等が明らかとなった場合は、その旨を責任者に報告する。
2 責任者は、対象事案の是正措置の検討及び実行を統括し、前項の報告を受けたときは、速やかに是正措置の検討及び実行をする。
3 責任者は、主管課に是正措置の検討又は実行を担当させることができる。
4 責任者は、法令違反行為等の是正措置が適切に機能しているかを検証し、適切に機能していないことが判明した場合は、追加の是正措置を講ずる。
(記録)
第10条 責任者は、外部通報の受付、調査の実施及び是正措置(以下「通報対応業務」という。)に関する記録を、通報者の秘密の保持に配慮し、外部公益通報処理票(様式第1号)を作成し、少なくとも通報対応終了後10年間保存する。
(協力義務)
第11条 市は、対象事案について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関が市の他にもある場合においては、当該行政機関と連携して調査を行い、是正措置を講ずる等、相互に緊密に連絡し協力する。
(秘密保持)
第12条 外部通報・相談に対応した職員(職務により外部通報・相談に関して秘密を知り得た職員を含む。)は、通報対応時及び通報対応終了後において、秘密保持及び個人情報保護を徹底するため、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 外部通報・相談の内容に関する情報を共有する者の範囲及び共有する情報の範囲は、必要最小限度にとどめること。
(2) 通報者等の特定につながり得る情報(通報者等の氏名、勤務先等の個人情報、調査等が外部通報を端緒としたものであることが分かる情報、通報者等しか知り得ない情報その他の情報をいう。以下同じ。)については、被通報者及びその関係者に対して開示しないこと(外部通報の対応を適切に行う上で必要最小限の情報を、次号に規定する同意を取得して開示する場合を除く。)。
(3) 通報者等の特定につながり得る情報を、情報共有が許される範囲外に開示する場合は、開示目的及び開示情報の範囲並びに当該情報を開示することによって生じ得る不利益について、通報者等に対して明確に説明し、通報者等の書面(電子メールを含む。)による明示の同意を取得すること。
(4) 通報者等本人からの情報流出によって通報者等が特定されることを防ぐため、通報者等に対して、情報管理の重要性について十分に説明すること。
(利益相反の排除)
第13条 次の各号のいずれかに該当する職員を通報対応業務に関与させてはならない。
(1) 法令違反行為等の発覚及び調査の結果により実質的に不利益を受ける者
(2) 通報者又は被通報者と親族関係(配偶者又は3親等以内の親族をいう。)にある者
(3) 前2号に掲げる者のほか、公正な対象事案に関する調査又は法令違反行為等の是正措置の検討又は実施を阻害し得る者
2 通報相談窓口担当者は、自らが前項各号のいずれかに該当する外部通報を受け付けた場合は、他の通報相談窓口担当者に引き継がなければならない。
3 調査の実施又は是正措置の検討若しくは実行に関与する者は、通報対応業務の各段階において、第1項各号のいずれにも該当しないことを確認し、そのいずれかに該当する場合は、責任者に報告しなければならない。
(通知等)
第14条 通報相談窓口担当者は、通報者の連絡先が明らかでない場合を除き、当該通報者に対して当該外部通報を受け付けた旨を、外部公益通報受理(不受理)通知書(様式第2号)により当該外部通報の日から20日以内に通知する。
3 通報相談窓口担当者は、通報者の連絡先が明らかでない場合を除き、対象事案に関する調査開始後から是正措置完了までの間、法第5条各項の規定に反して不利益な取扱いを受けていることが明らかになった場合には、通報者の保護に係る必要な支援を行うものとする。
(違反した職員に対する処分)
第15条 次のいずれかに該当する職員に対してその行為態様、被害の程度その他情状等の諸般の事情によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合に該当するものとして、懲戒処分等を講ずることができる。
(1) 第12条の規定に正当な理由なく違反した職員
(2) 第13条第1項各号のいずれかに該当することを報告することなく通報対応業務に関与した者
(教育及び周知)
第16条 責任者は、個人情報等の保護に配慮した上で、通報相談窓口の運用実績について職員に対して周知する。
2 責任者は、通報相談窓口担当者及び主管課の担当並びにそれらの担当者となる可能性の高い職員に対してこの要綱の適切な運用を確保するため、定期的に教育及び研修を行うこととし、通報者等を特定させる事項の取扱いについて特に十分な教育を行う。
3 市は、事業者及び労働者等に対する広報の実施その他適切な方法により、通報相談窓口、通報対応の仕組み等について、周知するよう努める。
(体制の整備、運用及び改善等)
第17条 責任者は、この要綱に基づく体制の整備及び運用状況等について市長へ定期的に報告する。
2 責任者は、この要綱に基づく体制の整備及び運用状況等について、定期的に客観的かつ公正な方法による評価、点検等を行い、必要に応じて改善策を講ずる。
3 責任者は、通報相談窓口に寄せられた外部通報に関する運用実績の概要を適切な業務の遂行及び利害関係人の秘密、名誉、プライバシー等の保護に支障のない範囲において、各年度の終了後、速やかに公表する。
(雑則)
第18条 この要綱に定めるもののほか、この要綱の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この要綱は、令和7年8月15日から施行する。



