○いなべ市小中一貫教育実施要領
平成30年3月13日
教育委員会告示第6号
本市では、いなべ市新しい学校づくり推進ビジョン(平成26年2月作成)に基づき、中学校卒業時における目指す子ども像を明確にし、一致した方向性のもとで、地域とともに特色ある教育活動を展開する「新しい学校づくり」に踏み出した。
目の前の子どもの姿から出発し、一人ひとりを大切にした授業づくり及び集団づくりと特別支援教育の視点から始まった小学校間、小中学校間及び保育所小学校間の校種を越えた連携の成果に立ち、地域の伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、志高く未来を創り出していく「いなべの明日を担う心豊かでたくましい子どもの育成」を目指して、小中一貫教育の推進を研究してきた。
平成29年4月には「いなべ市新しい学校づくり基本方針」を定めるとともに、基本構想の作成や研究体制の整備など小中一貫教育の導入に向けた体制を整備してきた。
これまでの研究をもとに、市内小中学校が義務教育9年間の学びと育ちを見据え、発達段階や教育上の課題に応じた、一貫性のある系統的かつ継続的な学習指導や生徒指導を行うための手法として小中一貫教育を実施する。
ついては、ここにいなべ市小中一貫教育実施要領を定めるものとする。
(いなべ市小中一貫教育の目標)
第1条 いなべの明日を担う心豊かでたくましい子どもの育成をめざし、個を伸ばし、集団の質を高める「一人力・仲間力」を基盤とした「生き抜く力・生き合う力・生き拓く力」を育てる。
(1) 系統的かつ継続的な取組に支えられた学力や体力の向上 義務教育9年間で一貫性のある指導を行うことにより、学びと育ちの連続性を持たせ、学習意欲を高め、智を育む。
(2) 系統的な体験活動に支えられた豊かな人間性の育成 「自己有用感」を育み、「自己実現」を図るとともに、地域社会の一員としての自覚を持ち、ふるさと“いなべ”を愛する心を育て、働くことや職業についての認識を深め、確かな社会性を身に付け、志を育む。
(3) 教員の指導力と授業力の向上 一貫性のある系統的かつ継続的な学習指導や生徒指導の充実を図り、授業改善の実践を通じて、より質の高い教育を行う。
(4) 学校づくりへの児童生徒の参画 児童生徒が授業づくりやルールづくりに積極的に関わり、児童生徒が主人公の学校づくりにより、仲間とつながり、絆を結ぶ。
(5) 学校と保護者及び地域との連携やつながりの強化 家庭、地域やPTAなど子どもの育成団体との連携及び協働を大切に、地域に根ざした特色ある教育活動を展開する。
(いなべ市小中一貫教育の内容)
第3条 小中一貫教育の内容は、次の各号に掲げるところによる。
(1) 実施形態について
ア 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に示す小学校及び中学校が、義務教育学校に準じて、小学校における教育と中学校における教育を一貫して施すことができる、「中学校併設型小学校」及び「小学校併設型中学校」とする。(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第79条の9)
イ 学校教育法第32条及び第47条に基づいた、小学校6年、中学校3年の修業年限と学習指導要領の6―3の区切りによる教育課程の編成により実施する。(学校教育法施行規則第52条及び第74条)
ウ 教育課程の特例、編成、授業時数の取扱いについては、学校教育法施行規則第79条の10、第79条の11及び第79条の12の定めによる。
(2) 施設形態について
現有の学校施設と通学区域を使って、施設一体型又は施設分離型とし、別表第1のとおりとする。
(3) 小中一貫教育グランドデザインとカリキュラムを活用した教育について
ア グランドデザイン(目標)
これまで小中連携で取り組んできた特色ある取組や研究実践を生かし、中学校区ごとに特色ある小中一貫教育を実施する。
中学校区では、中学校区小中一貫教育グランドデザインを作成し、推進の方向性を示す。
イ 前期(4年間)、中期(3年間)、後期(2年間)区分の重視
子どもの発達段階を考慮し、義務教育9年間を一体としてとらえた系統的かつ継続的な教育活動を実施するためには、4―3―2の区分を重視する。
ウ 小中学校の円滑な接続に向けたカリキュラムの工夫
子どもの発達段階、学びの段階を考慮して、教科及び領域を系統的に捉えた教科別カリキュラムや教科領域別カリキュラム及び全教育活動を通して実施する未来いなべ科カリキュラムや人権教育カリキュラムを作成する。この場合において、以下の点に留意してカリキュラムを作成することとする。
(ア) 各区分での到達目標と重点指導(学習)事項を明記すること。
(イ) 指導の系統性を明記すること。
(ウ) 「活用」を重視し、試行、実践及び改善のサイクルを取り入れたものであること。
(4) 家庭及び地域と協働した教育について
家庭及び地域並びにPTAなど子どもの育成団体との連携及び協働を大切にするための仕組みづくりを整えるとともに、地域に根ざした特色ある教育活動を展開する。保護者及び地域へはいなべ市の小中一貫教育リーフレットの配付や学校説明会、学校公開等の機会を持ち、理解と協力を求める。
(1) いなべ市小中一貫教育推進委員会(略称:INB9) 小中一貫教育を一体的にマネジメントし、関係機関との連携・調整を図るとともに、推進の方向性を示す。また、各中学校区の進捗状況や課題等についても情報共有を図る。
《構成員》
各中学校区校長代表、いなべ市教育研究会会長及び事務長、いなべ市教頭会代表、いなべ市教育総合研究所所長、小中一貫教育推進室代表、学校教育課課長 (事務局)学校教育課 |
(2) 中学校区小中一貫教育推進ワーキング・グループ会議(略称:WG会議) 年度当初に年間推進計画を定め、中学校区における小中一貫教育の具体的な取組を企画する。
《構成員》
中学校区校長代表・教頭代表、中学校区小中一貫教育コーディネータ、各校研修委員、学校教育課担当指導主事 |
(研究発表)
第5条 研究の成果を積み上げながら小中一貫教育の充実を図るために、毎年、各中学校区が輪番で実践を交流する研究発表会を実施する。
2 研究発表会を実施する中学校区は、実施年度の前年度から市の教育研究指定校委嘱事業を受けるものとする。
3 研究発表会の輪番は、員弁→藤原→北勢→大安の順とする。
(小中一貫教育の成果指標)
第6条 推進においては、以下の項目について成果指標を設定し、詳細は、別表第3のとおりとする。
(1) 勉強が好きな子
(2) 主体的に学ぶ子
(3) 自分のよいところを伸ばし、挑戦する子
(4) 健康で思いやりのある子
(5) 友だちと協力し、達成感を味わえる子
(6) ふるさと“いなべ”を愛する子
(7) 将来の夢や目標に向かって努力する子
附則
この要領は、平成30年4月1日から施行する。ただし、第5条の規定は、平成32年4月1日から施行する。
附則(令和6年3月26日教委告示第5号)抄
(施行期日)
1 この告示は、令和6年4月1日から施行する。
別表第1(第3条関係)
施設形態 | 施設一体型 | 施設分離型 |
実施方法 | 小学校と中学校の校舎が一体となっており、児童生徒や教職員の交流の中で一体的な学校としての教育活動を行う。 | 小学校と中学校の校舎が別々ではあるが、小学校と中学校が共通の教育方針と計画のもと、教育活動を行う。 |
対象となる校区と学校 | 藤原中学校区(1+1) 藤原中学校 藤原小学校 | 北勢中学校区(1+4) 北勢中学校 阿下喜小学校 治田小学校 十社小学校 山郷小学校 |
員弁中学校区(1+2) 員弁中学校 員弁西小学校 員弁東小学校 | ||
大安中学校区(1+4) 大安中学校 笠間小学校 三里小学校 石榑小学校 丹生川小学校 |
別表第2(第4条関係)
別表第3(第6条関係)
いなべ市の小中一貫教育の推進においては、以下の項目について、成果指標を設定し、数値評価については、全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査項目を使用する。
1 勉強が好きな子 |
・学校で好きな授業がありますか。 ・国語の勉強は好きですか。 ・算数(数学)の勉強は好きですか。 |
2 主体的に学ぶ子 |
・ものごとを最後までやりとげてうれしかったことがありますか。 ・授業で学んだことを、ほかの学習や生活に生かしていますか。 ・家で、自分で計画を立てて勉強していますか。 ・家で、学校の授業の予習をしていますか。 ・家で、学校の授業の復習をしていますか。 |
3 自分のよいところを伸ばし、挑戦する子 |
・難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦していますか。 ・自分にはよいところがあると思いますか。 |
4 健康で思いやりのある子 |
・人が困っているときは、進んで助けていますか。 ・いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思いますか。 ・人の役に立つ人間になりたいと思いますか。 |
5 友だちと協力し、達成感を味わえる子 |
・学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれしかったことがありますか。 ・友達との約束を守っていますか。 |
6 ふるさと“いなべ”を愛する子 |
・今住んでいる地域の行事に参加していますか。 ・地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がありますか。 ・地域や社会をよくするために何をすべきかを考えることがありますか。 ・地域社会などでボランティア活動に参加したことがありますか。 |
7 将来の夢や目標に向かって努力する子 |
・将来の夢や目標を持っていますか。 |
備考
1 「・」の文言は、児童生徒質問紙調査項目の表記による。
2 児童生徒質問紙調査項目は、年度により削除又は新設する場合がある。