○いなべ市みんなで支え合う災害対策基本条例

平成25年6月27日

条例第23号

目次

前文

第1章 基本となるきまり(第1条―第4条)

第2章 自分の命は自分で守ろう(第5条・第6条)

第3章 みんなで助け合おう(第7条―第11条)

第4章 市、市議会の果たす役割(第12条―第21条)

附則

私たちは、我が国を襲う地震、台風、豪雨等が大きな災害をもたらし、人々の平穏な暮らしとかけがえのない命を一瞬にして奪うことを改めて学びました。いなべ市は、東南海・南海地震防災対策推進地域の指定を受け、いつ大震災が私たちを襲うかわかりません。

そして、いなべ市においても、数々の風水害、土石流等による多くの災害を経験してきました。私たちは、これらの経験をとおして、人と人との支え合いや、地域での助け合いが何よりも大切で、それらは一朝一夕に築き得るものではないことも学びました。私たちは、日頃の地域のつながりの重要さを再確認するとともに、私たち自身の努力により全てのいなべ市民のかけがえのない命と暮らしを災害から守らなければなりません。

そこで、災害対策に関する基本となる考え方を定め、市に関わる全てのものの責任と義務、役割を明らかにし、災害に強く安全で安心なまちづくりを推進し、「災害に強いいなべ市」を次の世代につなげていくため、その決意を表明し、ここにこの条例を制定します。

第1章 基本となるきまり

(目的)

第1条 この条例は、市、市議会、市民、事業者その他市に関わるものの災害対策における責任と義務と役割を明らかにするとともに、災害の予防と災害が発生した際の応急対策と復旧に関する基本的な事項を定め、災害対策の確立を図り、市民の生命・身体と財産を災害から保護することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、次のとおりとします。

(1) 災害 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する災害をいいます。

(2) 市民 市内に住所がある人又は市内に住んでいる人をいいます。

(3) 事業者 市内において事業を営む法人その他の団体又は個人をいいます。

(4) 地域 自治会等の住民相互の交流が行われている身近な共同体をいいます。

(5) 災害時要援護者 高齢者、障がい者等災害時に特に援護について配慮が必要な人をいいます。

(6) 帰宅困難者 災害によって帰宅が困難となった人や市内に避難してきた人をいいます。

(7) 消防団 消防組織法(昭和22年法律第226号)第9条に規定する消防団をいいます。

(8) 自主防災組織 法第5条第2項に規定する自主防災組織をいいます。

(基本となる考え方)

第3条 市、市民、事業者は、次に掲げる考え方に基づきそれぞれの責任と義務と役割に応じ連携を図り、災害対策に取り組むこととします。

(1) 「全ての人は、自分の命は自分で守ろう。」という考え方(自助)

(2) 「全ての人は、相互に助け合い、互いを災害から守ろう。」という考え方(共助)

(3) 「市、市議会は、全ての人を災害から守る役割を果たします。」という考え方(公助)

(地域防災計画への反映)

第4条 法第16条第1項の規定により設置されたいなべ市防災会議は、同法第42条第1項の規定により作成されたいなべ市地域防災計画に検討を加える場合は、国、県等の最新の情報に基づき、前条に規定する基本となる考え方を反映しなければなりません。

第2章 自分の命は自分で守ろう

(市民としての備え)

第5条 市民は、この条例の基本となる考え方に沿って、災害の予防のため、次に掲げる事項について、自ら災害に備えましょう。

(1) 自分が住んでいる家その他責任のある物の安全性の確保

(2) 家具の転倒防止

(3) 出火の防止

(4) 初期対応に必要な用具の準備

(5) 災害時に自分が必要とする飲料水、食料等の備蓄と確保

(6) 避難経路、避難場所と避難方法についての確認

(7) 災害時の連絡先と連絡方法についての確認

(8) 防災情報の収集

(事業者としての備え)

第6条 事業者は、従業員及び顧客(以下「従業員等」という。)の安全を考え、災害の予防のため、次に掲げる事項について、災害に備えましょう。

(1) 工場、事業所、店舗その他責任のある施設又は設備の安全性の確保

(2) 物品等の転倒、落下等の防止

(3) 出火の防止

(4) 初期対応に必要な用具の準備

(5) 災害時に従業員等が必要とする飲料水、食料等の備蓄と確保

(6) 従業員等を助けるための資機材の確保

(7) 避難経路、避難場所と避難方法についての確認、従業員等への案内

(8) 災害対策訓練の実施と自主的な防災組織の編成

(9) 災害時における情報の収集

(10) 従業員等へ災害情報を知らせるための手段の確認と確保

(11) 災害時に事業を継続して行うために必要な準備とその体制の整備

2 事業者は、災害時に帰宅困難者となった従業員等が地域の混乱を生じさせることのないようにしましょう。

第3章 みんなで助け合おう

(市民の災害対策活動)

第7条 市民は、この条例の基本となる考え方に沿って地域の一員としての責任を自覚し、自発的な災害予防の活動と災害時における避難活動、負傷者の救護その他の諸活動(以下「災害対策活動」という。)に参加するよう努めましょう。

(自主防災組織の結成)

第8条 市民は、お互いの生命・身体と財産を災害から守るため、自主防災組織を結成するよう努めましょう。

(災害時要援護者の援護)

第9条 市民と自主防災組織と事業者は、災害時要援護者の安全を確保できるよう努めましょう。

(災害対策事業や消防団員確保への協力)

第10条 市民と事業者は、市などが実施する災害対策事業や消防団員の確保に協力しましょう。

(事業者の災害対策活動)

第11条 事業者は、社会的責任を自覚し、市民と連携し地域の災害対策活動の実施と参加、施設等の提供に努めましょう。

2 事業者は、地域との協力体制をあらかじめ築いておくように努めましょう。

第4章 市、市議会の果たす役割

(市の基本的な責任と義務)

第12条 市は、災害予防と災害が発生した際の応急対策、復旧に関する必要な対策を推進し、地域防災体制の整備を行い、市民の生命・身体と財産を災害から守り、その安全を確保するよう努めなければなりません。

2 市は、市民等と連携協力し、消防組織を充実させ、人材確保と後継者の育成に努め、自主防災組織等へ必要な支援を行い、地域の災害対策活動を促進しなければなりません。

3 市は、国や県などの地方公共団体や関係機関との連携協力に努めなければなりません。

4 市は、市の職員の防災に関する知識及び技術の向上に努め、市の職員を災害対策要員として確保しなければなりません。

5 市は、災害に関する正確な情報を、速やかに、かつ、確実に収集し、市民、事業者をはじめ各関係機関に伝達しなければなりません。

6 市は、災害発生後の市民生活の再建、安定と復旧に向けた施策の推進を図らなければなりません。

(応急体制の確立)

第13条 市は、災害時においては、法第23条第1項の規定により設置する災害対策本部(以下「災害対策本部」という。)を中心とする応急体制を確立しなければなりません。

(避難所の開設)

第14条 市は、災害時において、被災者の支援のため必要があると認めるときは、速やかに避難所を開設しなければなりません。

(応急医療体制の整備)

第15条 市は、あらかじめ、災害時における応急医療体制を整備し、災害時においては、市民、事業者、医療機関等と連携協力して、傷病者の救護に当たらなければなりません。

(備蓄物資の整備)

第16条 市は、災害時に必要な備蓄物資の計画的な整備を行わなければなりません。

(災害時要援護者の援護の推進)

第17条 市は、災害時要援護者が災害時に安全を確保できるよう、あらかじめ援護体制を整備し、災害時に災害時要援護者を援護しなければなりません。

2 市は、第9条の規定による援護をしようとするものに対し、必要な支援を行わなければなりません。

3 市は、第1項に規定する援護体制の整備又は援護(以下「援護等」という。)を行うため、援護等の事務以外の事務で取り扱っている災害時要援護者の個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第60条第1項に規定する保有個人情報をいう。以下同じ。)を必要な範囲内において、利用することができます。

4 市は、災害時に特に必要があると認められるときは、災害時要援護者の援護等を行うのに必要な範囲内において、消防機関、警察、民生委員、市社会福祉協議会、自主防災組織その他の災害時要援護者の援護の実施に携わる関係者に災害時要援護者の個人情報を提供することができます。

(ボランティア活動への支援等)

第18条 市は、災害発生時のボランティア活動を円滑に進めるため、活動拠点、資機材の提供等の支援や連絡調整を行う体制の確立に努めなければなりません。

(復旧の推進)

第19条 市は、災害により市内に大きな被害が発生した場合、国、県、他の地方公共団体等の関係機関と連携協力して被災地の復旧に努めなければなりません。

2 市は、市民生活の円滑な再建と都市機能の速やかな回復のため、災害対策本部を中心とする復旧体制を確立するものとします。

(帰宅困難者への支援)

第20条 市は、事業者、関係機関等と協力し、帰宅困難者の円滑な帰宅又は待機のために必要な対策を講ずるよう努めなければなりません。

(市議会の責任と義務)

第21条 市議会は、市民のかけがえのない命と暮らしを災害から守るため、防災に関する調査研究を行い、市の災害対策への助言及び提言を行わなければなりません。

2 市議会は、国や県の動向を踏まえつつ、地域の実情に合わせた市の防災対策の執行の把握と評価に努めなければなりません。

3 市議会は、復旧や復興のために市や県、国へ働きかけなければなりません。

この条例は、公布の日から施行します。

(令和4年12月26日条例第17号)

(施行期日)

第1条 この条例は、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)附則第1条第7号に掲げる規定(同法第51条の規定に限る。)の施行の日から施行する。

いなべ市みんなで支え合う災害対策基本条例

平成25年6月27日 条例第23号

(令和5年4月1日施行)