○いなべ市文化財保護条例

平成15年12月1日

条例第85号

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 いなべ市指定有形文化財(第5条―第21条)

第3章 いなべ市指定無形文化財(第22条―第27条)

第4章 いなべ市指定有形民俗文化財・いなべ市指定無形民俗文化財(第28条―第34条)

第5章 いなべ市指定史跡名勝天然記念物(第35条―第40条)

第6章 いなべ市登録文化財(第41条―第47条)

第7章 埋蔵文化財(第48条―第50条)

第8章 いなべ市文化財保護審議会(第51条)

第9章 雑則(第52条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び三重県文化財保護条例(昭和32年三重県条例第72号。以下「県条例」という。)の規定に基づき指定を受けた文化財以外の文化財で、市域内に存するもののうち市にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(財産権の尊重及びその他の公益との調整)

第3条 いなべ市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護とその他の公益との調整に留意しなければならない。

(所有者その他関係者の心構え)

第4条 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。

第2章 いなべ市指定有形文化財

(指定)

第5条 教育委員会は、市域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び県条例第5条第1項の規定により三重県指定有形文化財に指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものをいなべ市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。ただし、所有者等が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめいなべ市文化財保護審議会に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者等に通知して行う。

5 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第6条 市指定有形文化財が市指定有形文化財としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除をするときは、前条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 市指定有形文化財について、法第27条第1項の規定による重要文化財の指定があったとき又は県条例第5条第1項の規定による三重県指定有形文化財の指定があったときは、当該市指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。

4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者等に通知しなければならない。

5 第2項において準用する前条第4項の規定による市指定有形文化財の指定の解除の通知を受けたとき及び前項の規定による通知を受けたときは、所有者等は、速やかに市指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。

(管理義務及び管理責任者)

第7条 市指定有形文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づいて定める教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。

2 市指定有形文化財の所有者は、特別の事由があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者等は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も、同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(管理団体による管理)

第8条 市指定有形文化財について、所有者等が判明しない場合又は所有者等若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると認められる場合には、教育委員会は、適当な団体を指定して、当該市指定有形文化財の保存のため必要な管理を行わせることができる。

2 前項の規定による指定を受けた団体(以下「管理団体」という。)には、前条第1項の規定を準用する。

3 第1項の規定による管理団体を指定するときは、教育委員会は、あらかじめ所有者等が判明しない場合を除き、当該市指定有形文化財の所有者等及び管理団体に指定しようとする団体の同意を得なければならない。管理団体の指定を解除する場合も、同様とする。

(所有者等の変更等)

第9条 市指定有形文化財の所有者等が変更したときは、新所有者等は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形文化財の所有者等又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、き損等)

第10条 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者。以下次条において同じ。)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第11条 市指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合には、届出を要せず、又は所在の場所を変更した後、届け出ることをもって足りる。

(管理又は修理の補助)

第12条 市指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者等又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事由がある場合には、市は、その経費に充てさせるため、当該所有者等又は管理団体に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めたときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。

3 重要文化財及び県指定有形文化財については、前2項の規定を準用することができる。

(補助金の返還等)

第13条 前条第1項及び第3項の規定による補助金の交付を受ける所有者等又は管理団体が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、市は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者等又は管理団体に対し、既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理に関し条例又は教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。

(管理又は修理に関する勧告)

第14条 市指定有形文化財の管理が適当でないため当該市指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認められるときは、教育委員会は、所有者等、管理責任者又は管理団体に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し、必要な措置を勧告することができる。

2 市指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めたときは、教育委員会は、所有者等又は管理団体に対しその修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づいて行う措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内で市の負担とすることができる。

4 前項の規定に基づき市が費用を負担する場合には、第12条第2項及び前条の規定を準用する。

(有償譲渡の場合の納付金)

第15条 市が管理又は修理に関して、第12条第1項の規定により補助金を交付し、又は前条第3項の規定により費用を負担した市指定有形文化財のその当時における所有者等又はその相続人、受遺者若しくは受贈者は、補助又は費用負担に係る管理又は修理に関し必要な措置(以下この条において「管理等」という。)が行われた後、当該市指定有形文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該管理等が行われた後、当該市指定有形文化財の管理等のため自己の費やした金額を控除して得た金額を市に納付しなければならない。

2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る管理等を施した市指定有形文化財について、教育委員会が定める耐用年数で除して得た金額に、さらに当該耐用年数から管理等を行ったとき以後当該市指定有形文化財の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときはこれを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。

3 補助又は費用負担に係る管理等が行われた後、当該市指定有形文化財を市に譲り渡した場合その他特別の事由がある場合には、市は前項の規定により納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。

(現状変更等の制限)

第16条 市指定有形文化財に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を行う場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。

4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

(修理の届出等)

第17条 市指定有形文化財を修理しようとするときは、所有者等又は管理団体は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第12条第1項及び第3項の規定による補助金の交付、第14条第2項の規定による勧告又は前条第1項の規定による許可を受けて修理を行う場合は、この限りでない。

2 市指定有形文化財の保存のため必要があると認めたときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し、技術的な指導及び助言を与えることができる。

(公開)

第18条 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者等又は管理団体に対し、6月以内の期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため当該市指定有形文化財の出品を勧告することができる。

2 教育委員会は、市指定有形文化財の所有者等又は管理団体に対し、3月以内の期間を限って当該市指定有形文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項及び前項の規定による出品のために要する費用は市の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は、予算の範囲内で市の負担とすることができる。

4 教育委員会は、第1項及び第2項の規定により市指定有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該市指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。

5 教育委員会は、第3項の規定による公開及び当該公開に係る市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めたときは、当該管理について指揮監督することができる。

6 第1項及び第2項の規定により出品したことに起因して当該市指定有形文化財が滅失し、又はき損したときは、市は、所有者等に対し、通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者等、管理責任者又は管理団体の責めに帰すべき事由によって滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

第19条 前条第2項の規定による公開の場合を除き、市指定有形文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため第11条の規定による届出があった場合には、教育委員会は、当該市指定有形文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

2 市指定有形文化財の所有者等及び管理団体以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて市指定有形文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない.

(調査及び報告)

第20条 教育委員会は、必要があると認めたときは、市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について所有者等、管理責任者又は管理団体に対し報告を求め、又は調査を行うことができる。

(権利義務の承継)

第21条 市指定有形文化財の所有者等が変更したときは、新所有者等は、当該市指定有形文化財に関しこの条例に基づいて行う教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者等の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者等は当該市指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者等に引き渡さなければならない。

3 管理団体が指定され、又はその指定が解除された場合には、第1項の規定を準用する。

第3章 いなべ市指定無形文化財

(指定)

第22条 教育委員会は、市域内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により重要無形文化財に指定されたもの及び県条例第22条第1項の規定により三重県指定無形文化財に指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものをいなべ市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするに当たっては、教育委員会は、当該無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 第1項の規定による指定又は前項の規定による認定をするには、教育委員会は、あらかじめいなべ市文化財保護審議会に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定及び第2項の規定による認定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知して行う。

5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めたときは、そのものを保持者又は保持団体として認定することができる。

6 前項の規定による認定には、第3項及び第4項の規定を準用する。

7 第2項及び第5項の規定により、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体を認定したときは、認定書を交付しなければならない。

(解除)

第23条 市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の事由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除には、前条第3項の規定を準用する。

4 第1項の規定による指定の解除又は第2項の規定による認定の解除は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知して行う。

5 市指定無形文化財について、法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定があったとき又は県条例第22条第1項の規定による三重県指定無形文化財の指定があったときは、当該市指定無形文化財の指定及び認定は、解除されたものとする。

6 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。

7 保持者が死亡したとき又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき又は保持団体のすべてが解散したときは、市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

8 第4項若しくは第6項の規定による通知を受けた場合又は前項の場合には、前条第7項の規定により交付された認定書を所持しているものは、速やかに当該認定書を教育委員会に返付しなければならない。

(保持者の氏名変更等)

第24条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。

(保存)

第25条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めたときは、市指定無形文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を行うことができる。

2 市は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、その保存に要する経費を予算の範囲内で補助することができる。

3 前項の規定により補助金を交付する場合には、第12条第2項及び第3項並びに第13条の規定を準用する。

(公開)

第26条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し市指定無形文化財の公開を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。

2 前項の規定による市指定無形文化財の公開には、第18条第3項及び第5項の規定を準用する。

3 市は、第1項の規定による市指定無形文化財の記録の公開に要する経費について、予算の範囲内で補助することができる。

4 前項の規定により補助金を交付する場合には、第12条第2項及び第3項並びに第13条の規定を準用する。

5 第1項の規定により公開したことに起因して当該市指定無形文化財の記録が滅失し、又はき損した場合には、第18条第6項の規定を準用する。

(保存に関する助言又は勧告)

第27条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

第4章 いなべ市指定有形民俗文化財・いなべ市指定無形民俗文化財

(指定)

第28条 教育委員会は、市域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第27条第1項の規定により三重県指定有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものをいなべ市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要無形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第27条第1項の規定により三重県指定無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものをいなべ市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定には、第5条第2項から第6項までの規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定には、第22条第3項及び第4項の規定を準用する。

4 第1項の規定により市指定無形民俗文化財を指定したときは、当該市指定無形民俗文化財の保持団体に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第29条 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が、市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定の解除には、第6条第2項及び第5項の規定を準用する。

3 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定の解除には、第23条第3項及び第4項の規定を準用する。

4 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財について、法第56条の10第1項の規定による重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定があったとき又は県条例第27条第1項の規定による三重県指定有形民俗文化財又は三重県指定無形民俗文化財の指定があったときは、当該市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定は解除されたものとする。

5 前項の場合の市指定有形民俗文化財の指定の解除には、第6条第4項及び第5項の規定を準用する。

6 第4項の場合の市指定無形民俗文化財の指定の解除には、第23条第6項の規定を準用する。

7 第3項において準用する第23条第4項及び前項において準用する第23条第6項の規定による市指定無形民俗文化財の指定の解除の通知を受けたときは、前条第4項の規定により交付された指定書を所有している者は、速やかに教育委員会に返付しなければならない。

(市指定有形民俗文化財の保存)

第30条 市指定有形民俗文化財に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 市指定有形民俗文化財の保存上必要があると認めたときは、教育委員会は、前項の届出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。

(市指定有形民俗文化財に関する準用規定)

第31条 第7条から第15条まで及び第17条から第21条までの規定は、市指定有形民俗文化財について準用する。

(市指定無形民俗文化財の保存)

第32条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めたときは、市指定無形民俗文化財について自らの記録の作成その他その保存のため適当な措置を行うことができる。

2 市は、市指定無形民俗文化財の保持団体に対し、その保存に要する経費を予算の範囲内で補助することができる。

3 前項の規定により補助金を交付する場合には、第12条第2項及び第3項並びに第13条の規定を準用する。

(市指定無形民俗文化財の記録の公開)

第33条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

2 前項の規定による公開には、第26条第2項から第4項までの規定を準用する。

(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)

第34条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保持団体に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

第5章 いなべ市指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第35条 教育委員会は、市域内に存する記念物(法第109条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたもの及び県条例第35条第1項の規定により三重県指定史跡、名勝又は天然記念物に指定されたものを除く。)のうち市にとって重要なものをいなべ市指定史跡、いなべ市指定名勝又はいなべ市指定天然記念物(以下「市指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第5条第2項から第5項までの規定を準用する。

(解除)

第36条 市指定史跡名勝天然記念物が、市指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 市指定史跡名勝天然記念物について、法第109条第1項の規定による史跡、名勝又は天然記念物の指定があったとき又は県条例第35条第1項の規定による三重県指定史跡、名勝又は天然記念物の指定があったときは、当該市指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。

3 第1項の規定による指定の解除には、第6条第2項の規定を、前項の場合には、第6条第4項の規定を準用する。

4 前項の規定による指定の解除には、第6条第5項の規定を準用する。

(標識等の設置)

第37条 市指定史跡名勝天然記念物の所有者等又は第40条で準用する第8条第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(次条において「市指定史跡名勝天然記念物管理者」という。)は、教育委員会規則の定める基準により、市指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

2 前項の規定により標識、説明板、境界線、囲さくその他の施設を設置する場合には、第12条及び第13条の規定を準用することができる。

(土地の所在等の異動の届出)

第38条 市指定史跡名勝天然記念物の指定区域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、所有者(第40条において準用する第7条第2項の規定により選任した管理責任者又は第40条において準用する第8条第1項の規定による指定を受けた管理団体がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(現状変更等の制限)

第39条 市指定史跡名勝天然記念物に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急処置を行う場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 第1項の規定による許可を与える場合は、第16条第3項及び第4項の規定を準用する。

(準用規定)

第40条 第7条から第10条まで、第12条から第15条まで、第17条第20条及び第21条の規定は、市指定史跡名勝天然記念物について準用する。

第6章 市登録文化財

(登録及び認定)

第41条 教育委員会は、市域内に存する文化財(この条例の規定に基づき指定を受けた文化財又は法の規定に基づき登録された文化財を除く。)のうち市の歴史、文化又は自然を理解し、地域の特性を考えるために必要なものをいなべ市登録文化財(以下「市登録文化財」という。)として登録し、又は認定することができる。

2 前項に規定する市登録文化財の種別は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) いなべ市登録有形文化財(以下「市登録有形文化財」という。)

(2) いなべ市登録無形文化財(以下「市登録無形文化財」という。)

(3) いなべ市登録有形民俗文化財(以下「市登録有形民俗文化財」という。)

(4) いなべ市登録無形民俗文化財(以下「市登録無形民俗文化財」という。)

(5) いなべ市登録史跡、いなべ市登録名勝又はいなべ市登録天然記念物(以下「市登録史跡名勝天然記念物」という。)

3 第1項の規定による登録は、教育委員会が市登録文化財の種別ごとに登録文化財台帳(以下「台帳」という。)に記載して行う。

4 教育委員会は、市登録有形文化財、市登録有形民俗文化財又は市登録史跡名勝天然記念物(以下「市登録有形文化財等」という。)の登録をするときは、あらかじめ登録しようとする市登録有形文化財等の所有者及び権原に基づく占有者(以下この章において「所有者等」という。)の同意を得るものとする。ただし、所有者等が判明しない場合は、この限りでない。

5 教育委員会は、市登録無形文化財又は市登録無形民俗文化財(以下「市登録無形文化財等」という。)の登録をするときは、市登録無形文化財等の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下この章において同じ。)を認定するものとする。

6 教育委員会は、前項の規定による認定をした後において、当該市登録無形文化財等の保持者(以下この章において「保持者」という。)又は保持団体(以下この章において「保持団体」という。)として認定することが適当であると認めるものがあるときは、これを保持者又は保持団体として追加して認定することができる。

7 教育委員会は、第1項の規定による登録又は前2項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ学識経験者等の意見を聴くものとする。

8 教育委員会は、第1項の規定による登録並びに第5項及び第6項の規定による認定をしたときは、その旨を告示するとともに、所有者等又は保持者若しくは保持団体に通知するものとする。

9 第1項の規定による登録並びに第5項及び第6項の規定による認定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

10 教育委員会は、第1項の規定による登録並びに第5項及び第6項の規定による認定をしたときは、所有者等又は保持者若しくは保持団体に登録証書又は認定書を交付するものとする。

(登録及び認定の解除等)

第42条 教育委員会は、市登録文化財が市登録文化財としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、その登録又は認定を解除することができる。

2 市登録文化財について、法、県条例若しくはこの条例の規定に基づき指定を受けたとき、又は法の規定に基づき登録されたときは、当該市登録文化財の登録は、解除されたものとする。

3 市登録無形文化財等について、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、当該市登録無形文化財の認定は、解除されたものとする。

4 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合又は保持団体が保持団体として適当でなくなったと認められる場合若しくはその他特別の事由があるときは、その認定を解除することができる。

5 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したときは、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとする。

6 第1項の規定による登録の解除及び第4項の規定による認定の解除には、前条第7項の規定を準用する。

7 第1項の規定による登録の解除又は第4項の規定による認定の解除をしたときは、その旨を告示するとともに、所有者等又は保持者若しくは保持団体に通知するものとする。

8 前項の通知を受けた所有者等又は保持者若しくは保持団体は、登録証書又は認定書を教育委員会に返付するものとする。

(準用)

第43条 第7条から第13条まで、第15条及び第21条の規定は、市登録有形文化財等について準用する。

2 第24条及び第25条の規定は、市登録無形文化財等について準用する。

(現状変更の届出)

第44条 市登録有形文化財等に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会に届出なければならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行うとき。

(2) 市登録有形文化財等が毀損し、又は衰亡している場合において、その価値に影響を及ぼすことなく当該市登録有形文化財等を原状に復するとき。

(3) 市登録有形文化財等が毀損し、又は衰亡している場合において、当該毀損又は衰亡の拡大を防止するために必要な応急措置を講じるとき。

(4) 市登録有形文化財等の保存に影響を及ぼす行為を行う場合において、その影響が軽微であるとき。

2 教育委員会は、市登録有形文化財等を保護するために必要があると認めるときは、前項の規定による届出に係る現状変更等に関し必要な指示をすることができる。

(保存に関する助言)

第45条 教育委員会は、市登録有形文化財等の所有者等その他適当と認めるもの並びに市登録無形文化財等の保持者及び保持団体その他適当と認めるものに対し、それらの保存のため必要な助言を行うことができる。

(公開)

第46条 教育委員会は、市登録有形文化財等の所有者等その他適当と認めるものに対し、当該市登録有形文化財等を公開することを勧告することができる。

2 教育委員会は、市登録無形文化財等の記録の所有者に対し、その記録を公開することを勧告することができる。

(台帳)

第47条 教育委員会は、市登録文化財の登録及び市登録文化財に係る記録の保存のため台帳を調製するものとする。

2 前項の台帳には、参考となる写真又は実測図等を添付しておくものとする。

第7章 埋蔵文化財

(周知)

第48条 土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)について、教育委員会は、台帳等資料の整備その他周知の徹底を図るために必要な措置を実施しなければならない。

(保存)

第49条 埋蔵文化財を、土木工事等により発見したときは、その埋蔵文化財が貴重な文化遺産であることを自覚し、その損傷及び散逸の防止に留意するとともに、埋蔵文化財を包蔵することが明らかな土地の保存に努めなければならない。

2 前項の場合には、埋蔵文化財を発見した者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

3 前項の届出があった場合において埋蔵文化財の保存のため必要と認めたときは、教育委員会は、必要な指示をし、又は適切な措置を講ずることができる。

(届出)

第50条 埋蔵文化財包蔵地において土木工事等を行おうとする者は、あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。

2 前項の届出があったときは、前条第3項の規定を準用する。

第8章 いなべ市文化財保護審議会

(設置)

第51条 教育委員会にいなべ市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項に関して教育委員会に建議する。

3 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

第9章 雑則

(委任)

第52条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成15年12月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の北勢町文化財保護条例(平成13年北勢町条例第3号)、員弁町文化財条例(昭和55年員弁町条例第13号)又は藤原町文化財保護条例(昭和50年藤原町条例第1号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

(平成24年3月23日条例第9号)

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

いなべ市文化財保護条例

平成15年12月1日 条例第85号

(平成24年4月1日施行)

体系情報
第7編 育/第4章 文化財
沿革情報
平成15年12月1日 条例第85号
平成24年3月23日 条例第9号