いなべ市|情報誌「Link」2017年1月号(vol.157)
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いなべ市には、製造業を営む事業所が約360か所あります。事業所の中には、一つ一つ丹精込め、自らの手で製品を造る職人がいます。その内の一人が北勢町阿下喜で鍛冶屋を営む仙松かじや横田専之助さん(82歳)です。横田さんは昭和25年に中学校を卒業し、約70年もの間、鍛冶職人としてものづくりを続けられてきました。約130年続く仙松かじやの三代目として、現在も金槌を振りおろします。伝統ある技術で造られた製品を利用しようと、現在でも、県内外から横田さんに依頼があります。しかし、130年という伝統ある仙松かじやでさえも後継者が居ないという現実があります。また、横田さん自身もあと何年やれるかわからないと話します。これまで、横田さんの技術を会得しようと仙松かじやを訪れた人は少なくありません。しかし、いずれも長続きはしませんでした。横田さんは職人という職業について「やってみたいという半端な気持ちではあかん。数年やってみやな、なんもわからん。円を角に、角を円にするのを覚えるだけで数年かかる」と話します。近年、技術や産業の発展により職人の仕事が減少しつつあります。また、「3K職場(きつい、汚い、危険)」という言葉も存在しており、仕事を選ぶ上で3Kの職場は敬遠されがちな世の中になっているのも事実です。しかしこのような状況の中でも、伝統ある技術を後世につなごうと、今を全力で走る若手職人がいます。今回は、いなべ市内を中心に仕事を行い、いなべの伝統を継いでいこうとする将来の「いなべの匠」を紹介します。1.自宅にある鍛冶工場で鉄を 熱する横田さん2.クワの型。より軽い力でクワ を利用できるよう、クワの一 部を盛り上げるために使用 する3.ナタの柄などを付けるために 使用するドリル4.横田さんの造る包丁やカマ、 ナタなど124332017.1 Link

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