いなべ市|情報誌「Link」2015年11月号(vol.143)
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20代の頃、市外のイタリアンレストランに勤務していた時、食材の大切さに気付いたという多湖文貴さん。現在は稲作とイチゴの栽培を家族で行っている。 両親がずっと、おいしいものを作ってきていたので、自分も農業を残していきたいと思うようになったという。しかし、実家に帰って、農業を継ぐ話をすると父親の一はじめさんに反対されたとのこと。一さんはこの先、農業の経営が厳しい時代になるからと、就農を反対したが、文貴さんは販売方法を変えることでやっていけると説得。米の直販やイチゴ狩りを始め、10年目の今、経営は軌道に乗ってきている。 今、挑戦していることは、環境にいい農業。 まだ面積は少ないが、無農薬、無肥料の自然栽培の稲作にチャレンジしている。「いなべの土はねばりがあって、もともと稲づくりに適した土地。環境を整えてあげることで、稲自身が根を地中まで深く張り、より生命力を引き出すことができるという。手で除草をするなど、手間はかかるが、自然栽培という付加価値をつけ、差別化した米を販売していきたい」と話す。 いなべ市でも田んぼを作る人が年々少なくなり、担い手農家や営農組合などに耕作を頼むケースが増えている。文貴さんが、今、思うこと。「地域の田畑を預かるということは景観や環境も一緒に預かること。自分が生まれ育ったまちなので、いなべの景色と環境をずっと守っていきたい」米、麦、大豆、イチゴ ほか多湖 文貴さん38歳愛情がないとおいしいものはできない132454.今年7月、イタリアミラノ万博の関連企画で 文貴さんのお米を買ったお客さんと一緒に記念撮影5.多湖農園の米 お客さんには甘みが多く冷めてもおいしいと好評6.文貴さんの奥様 美恵さんがデザインしたお米のパッケージ61.イチゴの株を独立させるためツルを一本づつ切り離す2.息子はまだ一人前とはいえないけど、頼りになると話す一(はじめ)さん(左)3.一番甘くなるギリギリまで待って出荷をするというこだわりのイチゴ(3月撮影)作っています52015.11 Link
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